ラーメンとレンゲ 〜丼に直に唇をつけ、熱き汁を冷す技巧=これヤマト独自の食の流儀?〜

椀や丼に注がれた熱々の汁を、器に直に唇をつけて啜りいただくことの技巧。
私たちの日常生活の中にあるごく普通の食の法。「特段『技巧』と呼ぶべきものでもないだろう?」と思われるかもしれません。
しかし西洋の人々はスプーンを使い、中国人ではレンゲを使います。韓国人も長柄のスプーン。一説によれば、これは汁を吸う時に空気と一緒に含むことで、熱き汁を冷却するという技巧を身につけた民族である日本人の食生活、食の習慣や唇づかいとは異なることによるものとか?
日本では、 木の杓子などを用いることもありますが、これは重い、大きい器の場合。 器ごと持つことの出来ない幼児とか、けが人などを除けば、みそ汁に代表されるようにスプーンでいただくという光景は、見られなかったものです。
当店のラーメン丼も、赤三つ龍屋台のラーメン丼。重さ550g スープと麺とその他で食初重量は1kg程度の重さとなるでしょうか。
持ちて掻き込むことのできる丼です。
そのような理由から屋台のラーメン店ではレンゲの提供は、お客様が求められる以外はしなかったわけです。
先割れスプーンによる学校給食の食習慣。過度に演出された塗りや形に趣をおいた器での麺料理の提供など、器を持たない(物理的に持てない)昨今の食の演出。近年は蕎麦屋さんに至るもレンゲを提供する店も見られます。日本人の『箸だけで食することができる』が、変わって来ているんですよね。
レンゲを取り皿代わりに使って麺を食べている様子を見るたびに、このお方が丼飯はどのように食しているのか? 興味を抱くところでもあります。
「レンゲが無いと、熱すぎて舌をやけどします」
朝などの忙しい時に、熱いみそ汁を飲つける習慣の無くなった、「新しい日本の食文化」の一端です。
らーめんは屋台の文化。
丼に唇つけてスープを咽に運んでこそ、咽で味わえる味覚もあるものです。
- 2013.07.17 Wednesday
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- 19:28
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- by 海皇 www.haihuang.co.jp